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 文章修業

 文章修業も教師修業の一つである。むしろ,教師修業の多くの時間を文章修業が占めるだろう。文章が書けなければ,教師は仕事にならない。何度も校正している本がようやく完成しそうである。校正はいい勉強になる。連休でもう一度校正する。2月には,完成させたい。

 

シリーズ『国語科「学習用語」指導実践集』編集の意図

 これまでの国語科授業では、形成学力が十分に具体的ではなかった嫌いがある。『ごんぎつね』という物語文の読解という言語活動を通して、一体何を指導できたのか。作文という言語活動を通して、何が指導できたのか。インタビューという言語活動を通して、何が指導できたのか。

 子供の身に付けた国語科としての「指導事項」を具体的に明示できる教員は少ないだろう。なぜ、明示できないのか。教員の力量の問題とも言えるが、実はそれだけではない。もっと大きな問題をはらんでいる。国語科教育学自体の問題である。国語科教育学という学問の中で子供に教えるべき術語(専門用語)を具体的に明らかにして来なかったのが大きな問題なのである。

 我々は授業実践者である。言語活動を適正にさせるための「学習用語」(指導事項、教科内容)を授業の中で明示したい。「学習用語」は知識であり、その知識を言葉として教える。しかし、指導は到達点ではない。到達点は「学習用語」の安定的な行為化、つまりその活用である。「学習用語」を安定的に行為できる状態になれば、国語科で習得させた知識が技術として身に付き、各教科等で活用できる。本書は野口芳宏主宰の考えを実践している全国の「鍛える国語教室」研究会(通称、「鍛国研」)のメンバーで執筆した。各巻ほぼ、次のような構成である。

 「(一)現状の問題点」では、授業者が抱えている国語授業での問題点を書いた。多くの実践に共通しているのは、国語科の教科内容である指導事項の抽象性・曖昧さである。言語活動そのものは国語科のどの授業でも盛んである。ところが、それらの言語活動を通して「何を」指導しているのかが不明である。指導事項が抽象的、または不明のまま、現場で授業が為されているという現状が問題点として多く、報告されている。

 「(二)打開の方策」では、(一)の問題点に対して、この「学習用語」を指導すべきだという具体策が示されている。「学習用語」を列挙・厳選し、それをどのように明示、指導、行為させるべきかが提案されている。教材の内容(教材内容)を理解・表現させる言語活動を適正にするため、何を「学習用語」として指導するのか。(教科内容)/ その言語活動を通して、「学習用語」をどのように指導するのか。(指導方

法)を述べている。

 「(三)指導の実際」では、(二)の具体的な実践事例が報告される。授業記録だけでは場の空気を再現できないので、上段を下段に分けて記述している。下段には、「学習用語」選定の意図、指導、評価、行為化等を解説した。授業場面での「学習用語」そのものには、傍線を引き、明らかにした。

 「(四)効果の実証」では、「学習用語」の妥当性、適切性、指導の成果等を述べた。子供の実態に応じて、指導する「学習用語」が変わる。子供の「状況の論理」に対応するからである。教師の「計画の論理」だけでは、指導事項の決定はできない。ここで報告した授業はどう評価できるか。他の学級で同じ言語活動を扱う場合、ここで扱った「学習用語」は妥当なのか等を記述している。この実践報告を参考に、各学級での子供の実態に応じた「学習用語」を厳選し、指導し、評価し、習得させ、各教科で活用させてもらいたい。

 「マスターカード」(明治図書刊)を使った実践では、その実物を縮小して掲載した。それらを拡大複写し、活用してもらいたい。

現在、『国語科「学習用語」辞典』を執筆している。我々の主張を御理解くださって、共に「学習用語」を指導する実践をお考えの方は是非、御連絡をいただきたい。「学習用語」の実践を学び合い、国語授業を改善しよう。

 我々の主張を応援してくださっている江部満元編集長、そして主宰の野口芳宏先生に深く深く感謝申し上げる。

 平成二八年一月一五日 類い稀なる数多くの御恩に感謝しつつ   鍛国研/空知ゼミ代表 柳谷直明

 

 

シリーズ『国語科「学習用語」指導実践集』4(私家版『鍛える国語教室』24)

『「学習用語」活用による国語科授業改善 高学年』/目次

はじめに ――――――――――――――――――――――――――  野口芳宏    ⅰ

第一章 「マスターカード」で「学習用語」を習得させる授業 ―  野口芳宏   一

第二章 「読むこと」指導

1 読解力向上を保障する『読解力マスターカード』(小六)の指導事例 ―― 山本正実   七

 2 説明文教材の指導事例~『千年の釘にいどむ』(光村小五)を用いて~ ―― 駒井康弘  一八

 3 文学教材の指導事例~『川とノリオ』(教出小六上)を用いて~ ― 太田 等  二六

4 読書の指導事例~『推薦図書の討論』(小五)の開発授業~ ―  深澤五郎  三五

第三章 「書くこと」指導

 1 HPで活用できる、地域の良さを発信する『PR作文』(小五)の指導事例 

―― 工藤良信  四五

 2 児童会活動、学級活動で活用できる『企画書』(小五)の指導事例 ――― 船水 周  五七

 3 思考力、判断力、表現力を育成する『読者感想文』(小六)の指導事例

   ~宮沢賢治作『注文の多い料理店』を用いて~ ――――― 庭野三省・五十嵐啓磁  六八

第四章 「話すこと・聞くこと」指導

 1 他教科等で活用できる『スピーチ』(小六)の指導事例 ――  大谷和明    八一

 2 社会科や総合的な学習の時間で活用できる『インタビュー』(小五)の指導事例

―― 冨樫忠浩    九〇

 3 発表場面で活用できる『パネル・ディスカッション』(小五)の指導事例 ― 渥美清孝  一〇三

第五章 「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」指導

1 「伝統的な言語文化」(小六)の授業づくり ―――――――――――――― 山中伸之  一一四

2 小学校卒業までに常用漢字全てを習得させる漢字指導法(小五) ― 柳谷直明 一二五

シリーズ『国語科「学習用語」指導実践集』編集の意図 ―――  柳谷直明 一三五

 

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