「学習用語」指導

 国語科での「学習用語」指導を考え続けている。国語科各学年に「学習用語」を位置づけたカリキュラム・マネジメントを今年度以上に行いたい。例えば,『学習指導要領』にある討論を通して,子供たちは何を習得しているか。習得すべき知識・技能を「学習用語」として指導すると,子供たちの思考・判断・表現力を育成できる。例えば次のようにである。(私家版『「学習用語」活用による国語科授業改善 高学年』)

 

 

 討論は有効な言語活動である。討論を充実させるために、国語科「学習用語」を指導し、習得させ、活用させる。「学習用語」は言語活動を充実させる有効な手段だからである。例えば、立場という「学習用語」を教え、論題に対し○か×かの立場を判断させる。立場の判断と記述は子供の思考力、判断力、表現力を育てる。

 書いた人? こう問わない。このような質問は実に不経済である。一部の子供だけしか評価できないからである。全員参加にならない評価法である。

 子供の発言は計画的かつ効果的に行わなければならない。具体的には、机間巡視の際、中心から少し逸れた解をあらかじめ決めておく。全員の記述を確かめる。書いていない人? こう発問する。書いていない子供がいたならば、すぐに書かせる。そして、中心から少し逸れた解を発言させる。この発言は全員に評価される。したがって、反論されても挫けない強い心も育つ。その後、この発言に対する立場も全員に決めさせる。

 等君の解に近い人は○、近くない人は×をノートに書く。

 立場を決めさせ、立場の分布を取る。○と×の人数を確認する。そして、少数意見から発言させる。その方が解決は早いからである。討論させると、説得する方もされる方も思考が必要となる。したがって、思考力を育成する効果がある。

 少数意見への反論も発言させる。反論されると、「なぜ、違うのか。」と自らの解を疑う批判的思考力が育つ。反論された方は相手の発言は根拠に基づいているのか、間違っていないか。又は、自分の意見は相手の言う通りに誤りなのか。子供たちは文章に立ち戻り、更に思考し、判断し、表現する。

 反論に対しては、それに対する自分の立場(○か×か)とその根拠(なぜなら、~。)を必ずノートに書かせる。途中、自分の立場を全員に挙手させ、立場の分布の変化を板書する。こうすると、最初の分布に比べ、立場の変化の推移が明確になる。討論による変化を視覚に訴えると、学習内容への興味・関心が更に高まる。学習内容を通して、子供一人一人の興味・関心が高まり、思考が深まっていく。

 最後に教師の解を示す。その際、必ず根拠も述べる。そして、納得させる。討論で相手を論破したとしても、それが必ずしも正解とは限らない。したがって、教師がより深く教材研究した結果の解を子供たちに明示し、納得させる。

 教師が解を示すと正解した子供は正当性を自覚し、自信となる。次の学習での自発的・自主的な意欲を喚起させる刺激になる。また、教師の解と違った子供は、間違った解のまま終わるのではなく、正解とその根拠を知る結果となる。教師が正解に到った筋道は子供たちの次の学習で活用できる。

 このように、「学習用語」を活用した適正な討論により、全員に思考、判断、表現させる時間を保障できる。自分の考えを持たせ、ノートに表現させる。他の発言に対する自分の立場を持たせる。教師の解を聞いて、更に自分の考えの深化を図る。このような指導法により、全員に確実な形成学力を保障できる。